メモリーエラー

異変 1/11







『ピーピー、ピーピー』




午前4時。

宿舎の自室で睡眠をとっていた俺は、腕から鳴る電子音で目が覚めた。


もちろんこんな時間に目覚ましをかけているわけではない。

電話だ。



左腕に巻き付けてあるリストバンド型の緑色をしたこの装置は、隊員同士の意志疎通に使われる連絡手段。

携帯電話を腕にはめたようなものだと言えば分かりやすいだろうか。



呼び出し音が部屋に鳴り響く。


一体誰だよこんな時間に……

肘を曲げて画面を確認すると、リチャード・C・ルーカスの文字。


リチャード…?

通話ボタンを押した。






「興奮して眠れないのは分かるが、AVの感想なら後にしてくれよ」


『レオ、いいからテレビを見てみろ、5チャンネルだ』




何らかの突っ込みをくれるいつもの彼の様子はなく、あまりに深刻そうだったから俺は素直に従った。

嫌な予感がする。

暗い部屋にぼうっとテレビの光が浮かんだ。





『ロボットが一般市民を殺害したという衝撃的な…』




…。

リポーターの一声はそれだった。


まさか……


俺は映り出されるスクリーンに目と耳を近付けた。





『○○交差点の道案内ロボット「セレーナ」が、通りかかった会社員に突如襲いかかり、持っていたナイフでめった刺しにしました。この事件に関して、ロボティクス工学に詳しいチャールズ博士にお越し頂いております』



50歳くらいの、白衣を着た白髪混じりの男が頭を下げる。



『チャールズさん。本来攻撃行動をプログラムされていないロボットがナイフを持ち人を殺すということは、ロボット達に意志が芽生え始めていると言えますでしょうか?』


『…えー、そもそも機械に関しては動物の脳のような構造でない限り、プログラムの範囲外を超えた行動は誤作動とされ…』






『おいレオ、見てるか?』



俺はあっけにとられて眠気が明後日に飛んでいた。



「ああ、」



思い出したように返事をする。


これはとんでもないことになった。

今までロボットがおかしな行動をすることはあっても、直接人間に被害を及ぼすようなことは一件もなかった。


まず意志を持つようになっただとか感情があるだとか、そう言った類の話には興味がない。

そんなことは科学者とオカルト趣味の方々がゆっくりと話し合っていれば良い。


だがこの事件によって、ロボットという存在が人間の生活を脅かし得るということが分かったのだ。




「潰すか、排除するか…」









⇒しおり挿入


⇒作品艫激rュー
⇒モバスペ脾ook