ERIKA

戦争 1/2




早朝、ドイツ空軍がポーランド本土への爆撃を開始したとの連絡が入りました。

ついに戦争の始まりです。






くそ、こんな時に…



大佐の部屋の外からガヤガヤと話し声がして、収容所内は朝からその話でごった返しているようでした。


大佐は、みながまだ寝静まっている時間に計画を実行しようと考えていましたから、このような状態では彼女を外へ連れ出すのがためらわれました。





どうする…



少女はまだスヤスヤと眠っています。



焦ってはいけない。

…だが、これ以上かくまい続けても意味がないのだ。



ラジオからはドイツのポーランド侵攻を告げる放送が流れてきました。

軍歌のBGMをバックに、部屋にジンジンと響きます。


意気揚々としたアップテンポの音楽のそれを聞いていると、なんだか急かされているような気分です。





「ん…何?何の…音?」



大佐はバンっと勢いよくボタンを押してラジオを止めました。






「…何でもない。起こしてしまったか。」


「ううん…大丈夫。どうしたの、こんな時間に」





…もうこれはやるしかないだろう。



はっ、なんだ。


我が国ドイツの聖戦は、他でもない俺が待ち望んだこの日のために行われているんじゃないか。

なあ、総統よ。



今日じゃなかったら一生できなくなるかもしれない。

今日でなければ!

勝利は我が愛するこの国に微笑むことはできないのだろう。






大佐は強引にでも、やはりこの日に彼女を殺してしまうことに決めました。






「なあ、落ち着いてよく聞くんだ。」



「……?」




「ここの森の奥をずっと進んだところに、俺の別荘がある。」


大佐はまだ寝ぼけたような顔をした彼女に小声で言いました。






「お前を今からそこへ連れて行く。」





「…ど、どして?」


「もう無理だ。俺はこれ以上お前の面倒は見れない。俺のことは忘れて、そこで暮らすんだ。」





大佐はそう言って彼女を外に連れ出して殺そうとしました。



よし。

これで喜んで納得するだろう。



そう思って安堵していましたが、彼女は頷きながらも、喜ぶどころか昨日よりもまして悲しい顔をするのです。


そして大粒の涙を流しては俯きました。







やはりこいつ、これから殺されると分かっているのか…?








大佐は彼女の反応にモヤモヤしましたが、もう関係ありません。



制帽をかぶりブーツを履いて支度を整えると、すぐに少女の手を引いて部屋を出ました。


少女が何か言いたげなのを沈黙から感じ取ったものの、これから殺す人間のことなどどうでもよかったのでした。







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